キャッシュレス決済のデメリットとは?

結論
キャッシュレス決済には、主に次のようなデメリットがあります
  • 1家計管理が難しくなる(使いすぎに気づきにくい)
  • 2不正利用・セキュリティのリスクがある
  • 3対応していない店舗・使えない場面がある
  • 4通信障害・システムトラブルで支払いできなくなることがある
  • 5スマホ・カードの故障や電池切れ、紛失時に困る
  • 6高齢者やデジタルが苦手な人には使いにくい

2025年の日本のキャッシュレス決済比率は58.0%(決済額162.7兆円)まで伸びており、政府は2030年までに65%まで引き上げることを目標に掲げています。多くの人がキャッシュレス決済を日常的に使うようになった一方で、便利さの裏側にあるデメリットを具体的に把握している人は意外と少ないのではないでしょうか。次のセクションから、それぞれのデメリットと対策を詳しく見ていきましょう。

デメリット1:家計管理が難しくなる(使いすぎに気づきにくい)

キャッシュレス決済の最大のデメリットとして多くの人が実感しているのが、使いすぎに気づきにくいことです。現金なら財布の中身が減っていくのが目に見えますが、キャッシュレス決済は画面のタップやタッチだけで支払いが完了するため、「お金を使った」という感覚が薄れがちです。

ステップ・アラウンド株式会社が2026年6月に実施した調査によると、キャッシュレス決済でお金を使った感覚が薄れると回答した人は58.4%にのぼり、明細や残高を確認した後に、想定より支出が多いと感じた経験がある人も43.2%にのぼります。使いすぎを最も実感しやすい決済手段として挙げられたのはクレジットカードで39.2%、次いでQRコード決済・スマホ決済が34.4%でした。クレジットカードは後払いの仕組みのため、支払った瞬間には出費を実感しにくく、後から利用明細を見て「こんなに使っていたのか」と驚くケースが多いようです。

使いすぎを防ぐ具体的な対策

1

カード会社のアプリで利用通知をオンにする:利用のたびにリアルタイムで通知を受け取れるサービスを提供しているカード会社が多いので、まずは設定をオンにしましょう。同じお店での利用がまとめて翌日通知される場合や、少額利用は通知対象外になる場合もあるため、過信せず定期的な明細チェックも併用するのがおすすめです。

2

利用限度額を低めに設定する:多くのカード会社は会員専用ページやアプリから利用限度額を任意で設定できるサービスを用意しています。普段の生活費に見合った金額に設定しておけば、使いすぎる前にブレーキがかかります。

3

週1回は利用明細をまとめて確認する:複数の決済手段を使い分けている場合は、家計簿アプリで支払い方法をまたいで支出を一元管理すると、どこで使いすぎているかが把握しやすくなります。

デメリット2:不正利用・セキュリティのリスクがある

キャッシュレス決済は、カード情報の漏えいや不正アクセスによって第三者に悪用されるリスクを常にはらんでいます。日本クレジット協会の調査によると、2025年のクレジットカード不正利用被害額は510億5,000万円で、前年比8.0%減となったものの高い水準が続いています。内訳を見ると、ECサイトなどの非対面取引でカード番号を盗用される被害が475億4,000万円(全体の93.1%)と大半を占める一方、偽造カードによる被害は7億2,000万円(1.4%)と規模は小さいものの前年比22.0%増加しています。

被害に遭った場合の補償の有無

クレジットカードの多くには、第三者による不正利用と認められた場合に被害額を補償する制度があります。ただし、補償の対象は不正利用の申告日から遡って60日前までの利用に限られる点には注意が必要です。それより前の被害は補償されない可能性があるため、明細はこまめに確認し、身に覚えのない利用に気づいたらすぐにカード会社へ連絡しましょう。また、家族や同居人による利用、暗証番号を自分の過失で他人に知られていた場合などは補償の対象外になることも覚えておきたいポイントです。

今日からできるセキュリティ対策

  • カードごとに利用通知をオンにし、身に覚えのない利用にすぐ気づける状態にしておく
  • ネットショッピングでは、二段階認証(本人認証サービス)に対応したサイトを優先して利用する
  • 公共のWi-Fiで決済アプリにログインするのは避け、パスワードは使い回さない
  • スマホ決済アプリの画面ロック・生体認証を必ず設定しておく

店舗に貼られたQRコードの上に偽のQRコードを貼り付け、支払い先を不正な口座にすり替えてしまう手口や、SNSアカウントを乗っ取って友人になりすまし、送金アプリでお金をだまし取る詐欺も報告されています。決済用のQRコードは店員が用意したものか確認する、身近な人からの急な送金依頼は一度電話で本人確認するなど、「支払い前に一度立ち止まって確認する」意識を持つだけでも、被害に遭う確率を下げられます。

デメリット3:対応していない店舗・使えない場面がある

2025年のキャッシュレス決済額のうち82.7%をクレジットカードが占めるように、決済手段によって使える場所には偏りがあります。個人商店や小規模な飲食店、地方の店舗などでは、いまだに現金のみに対応しているケースが少なくありません。せっかくキャッシュレス決済の準備をしていても、いざという場面で使えなければ意味がなくなってしまいます。

現金しか使えない主な場面

  • 神社仏閣のお賽銭、お守り・お札の授与
  • 結婚式のご祝儀、葬儀の香典
  • 一部の個人商店、露店・フリーマーケット
  • 町内会費や自治会費、割り勘の精算

こうした場面は日常的に頻繁にあるわけではありませんが、いざというときに現金の持ち合わせがないと困ってしまいます。財布には数千円程度の現金を常備しておくと安心です。

デメリット4:通信障害・システムトラブルで支払いできなくなることがある

キャッシュレス決済は、インターネット通信や決済システムが正常に稼働していることが前提です。裏を返せば、通信障害やシステムトラブルが起きると、支払い自体ができなくなってしまうリスクがあります。実際に、PayPayでは2025年4月15日や2024年5月15日など、これまでに複数回「利用できない」障害が発生しており、いずれも当日中には復旧しているものの、障害発生時にレジ前で支払いができず困ったという声も見られます。

店舗のPOSレジ側のシステムトラブルでも同様に決済が止まることがあります。よく使う決済アプリが1つに偏っていると、そのサービスで障害が起きたときに支払い手段がなくなってしまうため、クレジットカードと複数のスマホ決済アプリを併用しておくとリスクを分散できます。

デメリット5:スマホ・カードの故障や電池切れ、紛失時に困る

スマホ決済は便利な一方、スマホ本体のバッテリー切れや故障、紛失があると、その場で一切の支払いができなくなってしまいます。クレジットカードや電子マネーカードも同様に、紛失・破損すれば利用停止・再発行の手続きが必要になり、その間は使えません。さらに規模の大きな話でいえば、2018年の北海道胆振東部地震では北海道全域で約295万戸が停電し、決済端末が使えなくなった店舗が相次いだことも報告されています。キャッシュレス決済は便利な反面、電力・通信インフラに依存しているという弱点があることは意識しておきたいところです。

万が一に備えるバックアップ手段

  • 財布には数千円〜1万円程度の現金を常に入れておく
  • モバイルバッテリーを持ち歩き、スマホの電池切れに備える
  • メインのカード・決済アプリが使えないときのため、サブのカードを1枚持っておく
  • スマホの紛失に備え、カード会社・決済アプリの緊急連絡先を控えておく

デメリット6:高齢者やデジタルが苦手な人には使いにくい

スマホの操作やアプリの設定に不慣れな人にとって、キャッシュレス決済はハードルが高く感じられることがあります。DIGITALIOが2024年7月に実施した「シニアのデジタル利用実態調査」(60歳以上401名対象)によると、シニア層の直近1ヶ月のキャッシュレス決済利用率は73.7%とすでに高い水準にある一方、現金なしの外出に抵抗を感じる人は約70%にのぼります。使い慣れている人が多い一方で、まだまだ「現金がないと落ち着かない」という感覚が根強く残っていることがうかがえます。

実際に使い始めても、暗証番号やパスワードの管理、アプリのアップデート対応、チャージ・入金の操作など、覚えることは意外と多いものです。家族が設定をサポートしたり、少額の支払いから少しずつ慣れてもらったりすることで、無理なく移行しやすくなります。

【チェックリスト】自分にとって本当に困るデメリットはどれか

ここまで6つのデメリットを紹介してきましたが、すべての人に等しく当てはまるわけではありません。ライフスタイルによって「深刻度」も「対策のしやすさ」も変わってきます。下の表で、自分にとってどのデメリットが本当に問題になりそうか、見比べてみてください。

デメリット深刻度の目安対策のしやすさ特に注意したい人
家計管理の難しさ(使いすぎ)高い対策しやすいクレジットカード・複数の決済アプリを併用している人
不正利用・セキュリティ高い対策にやや手間ネットショッピングを頻繁に利用する人
対応していない店舗がある中程度対策しやすい地方や個人商店をよく利用する人
通信障害・システムトラブル中程度対策にやや手間決済手段を1つしか持っていない人
故障・電池切れ・紛失中程度対策しやすいスマホ決済がメインの人
デジタルが苦手・高齢人による対策にやや手間高齢の家族と同居・サポートしている人

「家計管理」と「不正利用」は多くの人にとって深刻度が高い一方、通知設定や利用限度額の設定だけで対策できる手軽さもあります。まずはこの2つの対策から始めてみるのがおすすめです。

デメリットを踏まえてもキャッシュレス決済を使うメリットとのバランス

ここまでデメリットを中心に紹介してきましたが、キャッシュレス決済にはポイント還元による節約効果、支払いのスピード、レシート管理の手間が減るといった大きなメリットもあります。デメリットの多くは、通知設定や利用限度額の設定、現金の併用といった工夫で軽減できるものがほとんどです。「デメリットがあるから使わない」ではなく、「デメリットを理解したうえで対策しながら使う」というスタンスが現実的といえそうです。

自分のライフスタイルに合わせて、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済などを使い分けたい方は、上記の記事でタイプ別の特徴を確認してみてください。

まとめ:デメリットを理解して賢くキャッシュレス決済と付き合う

この記事のポイント

  • キャッシュレス決済のデメリットは、使いすぎ・不正利用・非対応店舗・通信障害・故障紛失・デジタル格差の6つに整理できる
  • 使いすぎと不正利用は特に深刻度が高いが、通知設定や利用限度額の設定で対策しやすい
  • 通信障害や災害時に備えて、現金と複数の決済手段を併用しておくと安心
  • デメリットを理由に避けるより、対策しながら上手に付き合うのが現実的

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よくある質問

キャッシュレス決済で不正利用された場合、お金は戻ってきますか?

クレジットカードや電子マネーの多くは、第三者による不正利用と認められた場合に被害額を補償する制度を設けています。ただし、不正利用の申告日から遡って60日以内の利用に限られる、家族や同居人による利用は対象外、暗証番号を自分の過失で他人に知られていた場合は対象外になるなど、細かい条件があります。カードを紛失・盗難された、または見覚えのない請求に気づいたら、できるだけ早くカード会社に連絡することが大切です。

キャッシュレス決済と現金はどちらが良いですか?併用すべきですか?

どちらか一方に絞るのではなく、併用するのがおすすめです。ポイント還元や家計管理のしやすさはキャッシュレス決済に分がありますが、停電・通信障害時や、キャッシュレス非対応の店舗・場面では現金が必要になります。普段はキャッシュレス決済を中心にしつつ、財布に数千円程度の現金を備えておくと、いざというときに困りにくくなります。

キャッシュレス決済の使いすぎを防ぐにはどうすればいいですか?

クレジットカード会社のアプリで利用通知をオンにし、利用の都度、あるいはこまめに明細を確認する習慣をつけることが基本です。あわせて、カード会員専用ページやアプリから利用限度額を低めに設定しておくと、使いすぎに早く気づけます。複数の決済手段を使い分けている場合は、家計簿アプリで支払い方法をまたいで支出を一元管理するのも効果的です。

高齢の家族にキャッシュレス決済を勧めても大丈夫ですか?

無理に勧める必要はありませんが、防犯や利便性の面でメリットもあります。勧める場合は、いきなり全面的に切り替えるのではなく、現金と併用しながら少額の支払いから慣れてもらう、利用通知や利用限度額の設定を家族がサポートする、操作に迷ったときにすぐ聞ける環境を作る、といった段階的な進め方が安心です。