「生活保護費が物価高で上がるらしい」「最高裁で何か決まって、お金が戻ってくると聞いた」——こうしたニュースを耳にして、自分や家族に関係するのか気になっている方も多いのではないでしょうか。2026年は生活保護に関わる「値上げ(増額)」が2つ動いています。ひとつは物価高に対応した毎月の上乗せ、もうひとつは過去の引き下げに対する最高裁判決を受けた一度きりの追加給付です。この記事では、いつから・いくら・誰が対象で・どう受け取るのかを、厚生労働省や自治体の公式情報をもとにわかりやすく整理します。
※2026年6月時点の情報です。最新の金額・時期は厚生労働省およびお住まいの福祉事務所でご確認ください。
【2026年10月〜】物価高対応の特例加算が1,000円引き上げ
まず、いま生活保護を受けている方に直接関わるのが、毎月の生活扶助に上乗せされる「特例加算」の増額です。厚生労働省は、食費や光熱費にあたる生活扶助費について、2026年10月から世帯1人あたり月1,000円を引き上げることを決めました。物価高騰が長引くなかで、家計の負担を少しでも和らげるための措置です。
いくら上がる?(1人あたり月1,500円→2,500円)
特例加算は、2026年9月までが1人あたり月1,500円。これが2026年10月から月2,500円になります。つまり1人あたり月1,000円の増額です。たとえば2人世帯であれば、単純計算で月2,000円ぶん上乗せが増えることになります。
「月1,000円」と聞くと少なく感じるかもしれません。けれど、電気代の一部が払えたり、おかずを一品増やせたり、通院のバス代が出せたりと、毎日の暮らしに直結する金額ですよね。
誰が対象?(自宅で生活している受給者)
この増額の対象は、現金で生活扶助を受けている「自宅で生活している受給者」です。一方で、病院に入院している方や介護施設に入所している方など、食事や光熱費が現物で支給されているケースでは、特例加算の増額は行われず、現行の月1,000円が据え置きとなります。同じ生活保護でも、暮らし方によって扱いが変わる点は知っておきたいところです。
特例加算はこれまでどう増えてきた?
特例加算は、物価高への臨時的・特例的な対応として段階的に引き上げられてきました。これまでの推移を整理すると、次のとおりです。
| 時期 | 特例加算(1人あたり・月額) | 前回からの変化 |
|---|---|---|
| 2023・2024年度 | 1,000円 | 制度導入 |
| 2025年10月〜2026年9月 | 1,500円 | +500円 |
| 2026年10月〜 | 2,500円 | +1,000円 |
このように、2025年10月にまず500円上乗せされ、さらに2026年10月に1,000円上乗せされる流れです。なお、この特例加算はあくまで臨時的な措置で、2027年度以降の生活扶助基準のあり方については、2024年に実施された全国家計構造調査の結果をもとに、専門家による基準部会で改めて検証される予定です。
生活扶助費(食費・光熱費など日々の暮らしの費用)に、物価高ぶんとして上乗せされる金額のことです。基本の基準額とは別枠で加算されます。
【2026年〜】最高裁判決を受けた「追加給付」
もうひとつの「値上げ」は、毎月の上乗せとはまったく別物です。過去に引き下げられた生活保護費について、最高裁が「引き下げは違法」と判断したことを受け、その差額をまとめて支給する一度きりの追加給付が始まります。
なぜ追加給付されるのか(2013年の引き下げが「違法」に)
2013年(平成25年)から3段階で実施された生活扶助基準の引き下げをめぐって、2025年6月27日の最高裁判決は、物価下落分を反映した「デフレ調整」について「厚生労働大臣の判断の過程および手続に過誤、欠落があった」として違法と判断しました。これを受けて厚生労働省は2025年11月にお詫びを表明し、対応方針を決定しています。
具体的には、当時のデフレ調整(▲4.78%)を、消費実態にもとづく調整(▲2.49%)に置き換え、その差にあたる分を追加で給付するという内容です。関連する補正予算は2025年12月16日に成立し、2026年2月20日に告示が公布、3月1日から適用されています。
いくら受け取れる?(数百円〜10万円台と幅が大きい)
気になる金額ですが、ここが大事なポイントです。追加給付額は世帯の人数・受給していた時期・期間によって大きく異なります。横浜市が公表している厚生労働省の試算例を見ると、その幅の大きさがよくわかります。
| 世帯の例(加算なしの場合) | 8か月受給 | 1年受給 | 3年受給 |
|---|---|---|---|
| 60歳代の一人暮らし(2013年8月〜) | 約4,000円 | 約12,000円 | 約65,000円 |
| 70歳代の夫婦(2013年8月〜) | 約7,000円 | 約21,000円 | 約111,000円 |
| 40歳代の一人暮らし(2020年8月〜) | 約300円 | 約300円 | 約1,000円 |
出典:横浜市「最高裁判決を踏まえた生活保護費等の追加給付について」(厚生労働省の試算例)。あくまで目安で、実際の額とは異なる場合があります。
このように、1世帯あたり数百円の方もいれば、10〜20万円になる方もいます。受給していた期間が長いほど、また早い時期から受給していたほど、給付額は大きくなる傾向です。「単身は一律10万円」といった見出しを目にすることもありますが、実際は一人ひとり大きく違うと考えておくのが正確です。
誰が対象?(2013〜2026年に受給していた世帯)
対象となるのは、2013年(平成25年)8月から2026年(令和8年)3月までの間に生活保護を受給していた多くの世帯です。現在も受給している方はもちろん、すでに生活保護を廃止された方も含まれます。ただし、受給期間や加算の有無によっては追加給付がない方もいますし、すでにお亡くなりになった方は支給の対象外とされています。
障害者加算や母子加算などを受けていた方は、その加算分も追加給付の対象に含まれる場合があります。障害のある方の手当については、こちらの記事も参考になります。
手続きは必要?いつ振り込まれる?
「自分で申請しないともらえないの?」と心配になりますよね。基本的な流れは次のとおりです。
お住まいの自治体が当時の記録に基づいて職権で決定し、支給します。横浜市では2026年夏頃を目途に支給を予定しています。
当時受給していた自治体へ「申出」を行う必要があります。申出の受付開始は2026年夏頃が予定されています。
追加給付は「当時その自治体で受給していた分」を、その自治体が支給します。転居している方は、当時の自治体に問い合わせが必要なケースがあります。
具体的な支給時期は、各自治体の準備状況によって異なります。「いつ振り込まれるか」が気になる場合は、お住まいの福祉事務所や、厚生労働省の追加給付相談センター(0120-179-445/平日9:00〜17:00)へ確認してみてください。
追加給付は原則、自治体からの手続きで進みます。「給付金のために手数料が必要」「キャッシュカードを預かる」といった連絡は詐欺の可能性があります。少しでもおかしいと感じたら、自治体の窓口に直接確認しましょう。
そもそも生活保護費はどう決まる?「値上げ」の背景
2つの値上げをより深く理解するために、生活保護費の基本の仕組みもおさえておきましょう。
最低生活費と生活扶助の仕組み
生活保護費は、国(厚生労働大臣)が定める「最低生活費」と、世帯全体の収入を比べて決まります。収入が最低生活費に満たない場合、その不足分が保護費として支給される仕組みです。今回増額される生活扶助は、この最低生活費の中心となる部分で、食費や衣類などの「第1類」と、光熱費や家具などの「第2類」から成り立っています。
また、同じ世帯構成でも、住んでいる地域の物価差に応じて支給額が変わります。これが「級地」と呼ばれる区分で、全国は1級地から3級地まで分かれています。一人暮らしの場合、地域や状況によりますが、目安として月12万円前後とされることが多いです。
なぜ今、上がるのか(物価高と基準の見直し)
2つの値上げに共通する背景が「物価高」です。特例加算は長引く物価高騰への対応そのものですし、追加給付のきっかけとなった最高裁判決も、物価の変動をどう基準に反映するかが争点でした。食料品や光熱費の値上がりが続くなかで、最低限度の生活をどう守るかが問われている、というわけですね。
値上げを待つ間にできる家計の見直し
特例加算の増額は2026年10月から、追加給付は自治体によっては夏以降と、どちらも「今すぐ」ではありません。その間も食費や日用品の値上がりは続きます。少しでも家計を守るために、毎日買う生活必需品の「買い方」を見直してみるのもひとつの方法です。
同じ商品でも、Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングなど店によって価格が違ったり、同じ店でも時期によって値段が変わったりします。プライシーのアプリ(スマホ専用・iOS/Android)なら、複数のネット通販の価格を横断で比較でき、値下がりやクーポンが出たときにプッシュ通知で知らせてくれます。たとえば、よく買う主食や日用品の価格推移を見てみると、買い時の感覚がつかめます。
日持ちする主食・調味料・日用品は、価格が下がったタイミングでまとめ買いするのが効果的です。値上げ前のニュースが出たら早めに動くのもポイントですよ。
まとめ:2つの「値上げ」を取り違えないように
この記事のポイント
- 特例加算(毎月):2026年10月から1人あたり月1,500円→2,500円に。自宅で生活する受給者が対象
- 追加給付(一度きり):最高裁判決を受けた過去分の差額支給。2013〜2026年の受給世帯が対象
- 追加給付の金額:数百円〜10万円台と世帯・期間で大きく異なる。「一律いくら」ではない
- 手続き:現受給者は原則申請不要(職権)。過去の受給者は当時の自治体へ申出が必要
- 入院・施設入所中:特例加算の増額は対象外(月1,000円据え置き)。追加給付は対象になる場合あり
金額や時期は世帯ごと・自治体ごとに違います。自分の具体的な金額や振込時期を知りたいときは、お住まいの福祉事務所のケースワーカー、または厚生労働省の追加給付相談センター(0120-179-445)に確認するのが確実です。物価高が続くなかで、受け取れるものを正しく受け取り、毎日の買い物も少し工夫して、家計を守っていきましょう。
生活保護の値上げに関するよくある質問
毎月の特例加算の増額は2026年10月からです。最高裁判決を受けた追加給付は、現在受給中の方は自治体によって2026年夏頃を目途に始まる予定で、時期は自治体ごとに異なります。
1人あたり月1,500円から2,500円へ、月1,000円の増額です。世帯人数分が上乗せされます。ただし入院中・介護施設入所中の方は対象外で、月1,000円のまま据え置きとなります。
2013年8月から2026年3月までの間に生活保護を受給していた多くの世帯が対象です。現在受給中の方も、すでに廃止された方も含まれます。受給期間や加算の有無により給付がない方もいます。亡くなった方は対象外です。
現在も受給中の方は原則申請不要で、自治体が職権で支給します。今は受給していない元受給者の方は、当時の自治体へ「申出」が必要です。申出の受付は2026年夏頃に開始される予定です。
追加給付額は世帯人数・受給時期・期間で大きく変わり、数百円〜10万円台と幅があります。正確な金額はお住まいの福祉事務所、または厚生労働省の追加給付相談センター(0120-179-445/平日9:00〜17:00)でご確認ください。
毎月の特例加算の増額は、自宅で生活している受給者が対象のため、入院中・施設入所中の方は対象外(月1,000円据え置き)です。一方、最高裁判決を受けた追加給付については、入院患者日用品費なども対象に含まれる場合があります。
